2006年ワールドチャンプへの道1T.シーズンからプレイオフ06年のシーズンは、新球場が主役なのか、いつもと違い、おおっ!という補強もない、落ち着いた開幕だった。最初もたついたが、ここ数年の通り、危なげなく首位を独走した。とはいうものの、ぷー君は、42ゲームでホームラン20本に到達という記録を作るほど、ものすごい勢いだったが、6月初めに脇腹をいため、キャリア初のDL入りとなったなど、相変わらずケガ人に悩まされた。それに、セントラル・ディヴィジョンのライバルのカブスとちょっと競り合ったりしたのだが、デレク・リーとかのDL入りであちらが失速してくれた。また、もうひとつのライバル、アストロズもケガ人が多いせいか、あまり勢いがなかった。それは、オールスター後、引退したはずのロジャー・クレメンスの復帰があっても、変わらなかった。 そのせいか例年になく、カーディナルスは、7月、8月末の、おおっ!という大型補強をしなかった。たしかに、ケガ人の穴埋めにプレストン・ウィルソン、ロニ―・ベリヤード、ジェフ・ウィ―バーなどは取ったよ、でも、数年前のラリー・ウォーカー、スコット・ローレン、ジム・エドモンズとか、A’S時代の’89年のおりっきー様、90年のウィリー・マギー&ハロルド・ベインズなど、故パンチョ伊東氏いうところの「カンフル剤」的な、選手の補強はしなかったのであった。 案の定、カーディナルスは、それまでも不調であった、抑えのイジ―君、先発のモルダー君が、相次いでDL入り、それも手術して今季絶望という最悪のケースになり、9月になると、元気もののエクスタイン君がDL入りしてしまったせいで、連敗につぐ連敗(8連敗の後、10連敗くらいしたはず)、みるみる失速、アストロズがぐんぐん追い上げてきた。 9月末だったか、BS1の中継をみたとき、カーディナルスは何連敗中だったっけ? 全員おでこに「LOOSER」のLのマークがついたみたいな、覇気のない情けない顔をしていた。もちろん、負けた・・・。 さすがの私も、シーズン優勝はする、だろう、が、下手をすれば、プレイオフ初戦で負けたりなんかすると、ずるずる3連敗で終わっちゃうかも??今年はあかんかなあと考えた。なにしろ、04年のワールドシリーズのショックからも、昨年の対アストロズの敗戦からも、まだ立ち直っていない私なの、期待するとまた立ち直れなくなるぞ、と思ったものだった。だって、今年のチームには、チームリーダーがいないんだもん。 ウッディー先輩、マットモリス君、マティニ―先輩のいた頃は、エドモンズ君も一端を担っていたけど、ひとりで先頭に立ってまとめるタイプじゃあないしなあ、ぷー君はまだ若いし〜。こーいうチーム存亡の危機には、やはり、ぐいっとまとめるリーダーシップを持つ野郎が必要なのにぃ〜。 この頃、田口選手の日記に、負けゲームの後誰もいないクラブハウスで、じーっと壁を見つめながら、ひとりビールを飲む、控え捕手のゲイリー・ベネットか、控え内野手のアーロン・マイルズだったかな、あんまりな雰囲気だったので、1本だけ付き合って帰った、というのがあったっけ・・・。エラーでもしたんだろうか、優勝経験のない選手が、常勝チームへ来たのに、こんな体たらくで気の毒やなあという象徴のようなシーンであった(実際に、自分で見たような気がしたほどだ)。 そういうわけで、10ゲームあった2位とのゲーム差も、最後のストレッチではすっからかん、とうとう追いつかれ、シーズン最終戦で、アストロズが勝ち、カーディナルスが負ければ、ワンデイ・プレイオフで決戦、というとこまできたのだった。 こういうとき、映画では、死力をふりしぼって全員野球で勝つことに決まっている。しかし現実はといえば、アストロズがブレ―ブスに負けてくれて、カーディナルスも負けた。その結果、辛うじてカーディナルスの優勝が決まったという、じつに情けない、プレイオフ出場チーム中最低勝率、83勝78敗セントラル・ディヴィジョン・チャンピオンであった。田口選手の日記、セントルイスの新聞の記事によると、ブッシュスタジアムのゲーム中に、アトランタでの途中経過が入り、カーディナルスファン達はあろうことか、ブレ―ブスの応援の、トマホーク・チョッピンをやりだしたんだと。ラルーサ監督が、あとでコックス監督と電話で話したとき、コックス監督が大笑いしていたと言う・・・(私だってやったかもしれない・・・)。 ただ、この最後のゲームに、ラルーサ監督は、エースのクリス・カーペンターを先発させなかった。プレイオフのために温存したのである(ワンデイ・プレイオフかもしれないが)。 これが後々生きてくる、さすがラルーサ監督、ポストシーズンMVP級の采配、と言われている。 さて、DSの相手は、ウェスト・ディヴィジョン優勝のサンディエゴ・パドレスに決まった。パドレスにはプレイオフで負けたことがない、とはいうものの、おでこに「L」のチームである。なにしろ、左の先発、抑えのエースを欠いている、ただでさえしっかりしない投手陣が万全でないのである、大丈夫か・・・。若手投手たち(よく知らない人達ばっかりだ)で彼らの穴を埋めるという。短期決戦だけど、なあ・・・。スコット・ローレン君も、痛みどめの注射をしたとか、エドモンズ君もいつもどおり、どこかが痛い、本調子ではないという情報だった。例年通りの大型チームで万全であっても、シーズン中のようなゲームが出来るとは限らない、スコット・ローレン君が、プレイオフ中に激突されて肩を脱臼したあと、失速したこともあった(シントロン・・・)。とにかく、ミニチュア・ダックスフントやチワワがひしめくなかで、ぷー君、ローレン君ら、グレートデ―ンが数匹混じっている感じ、下馬評でも、誰ひとりカーディナルスを優勝候補に挙げないのも、ラルーサ監督のチームにしては珍しいが、ファンの私から見ても、とてもプレイオフで勝ちあがるチームの様相ではなかったと思う。 そして、第1戦、勝った。ESPNのニュースと、田口日記によると、今ひとつぴりっとしなかった、カーペンター投手の満塁の場面を、2塁手三つ編み男ロニ―・ベリヤードの超ファインプレイで抑えた後、やれる!という気になったという。これは、シリーズ終了後、デビッド・エクスタイン君も述懐していた。ゲーム後、エドモンズ君が音頭を取って、ウィニングボールを三つ編み野郎、いやベリヤード君に進呈しようじゃないかと、儀式が始まり、みるみるチームがまとまってきたという。 ターニングポイントその1であろう。 DSは、いつものチームならば、3連勝であっさりCSに勝ちあがるのだが、2勝した後、やはり1敗した、どきっとしたが、3勝1敗で勝ちあがったなんて、上等上等である。 こういってはなにだが、ラルーサ監督のファンになって以来、彼のチームの特色は、まず、ゲームは、先取点をとり、リードして逃げ切る方式である(そのため、存在感のある抑えの切り札が不可欠だ)。ゲーム半ば、後半に逆転することも滅多にない、延長戦で勝つことも少ない。点を取られたら取り返し、競り合って最後に逆転さよなら勝ちなどという、手に汗を握る、根性のあるゲームなんて望めないのだ。シーズン優勝するならば、春先から首位を独走、なおかつすごい補強をして、いつのまにか、ゲーム差10以上、貯金20以上で100勝し、後続チームをとても追いつけそうにない気持ちにさせて、圧倒的に勝つのだ。春先は出遅れたが、最後にぐいぐいと連勝して追いついて逃げ切る、というチームではないのよ。 そして、ポストシーズンのゲームときたら、初戦に勝てなければ、たとえ1勝しても、とても勝てそうにない雰囲気になる。たいてい、一度もリードすることなく4連敗してあっという間に終了が常だ(ラルーサ監督は、90年、05年のワールドシリーズ8連敗の記録をお持ちである)。相手に先に点を取られてもだめ、そうそう、アウエイも弱い、シーズン中アウエイで勝ち越していても、史上最強、将来殿堂入りぞろぞろ、と言われた大男達が、みんな別人のように萎縮して打てなくなる。エースは、おなじ選手、それもなんでこんな選手に?というようなやつ(96年NLCSで、当時20歳だったブレ―ブスのアンドリュー・ジョーンズをデビューさせたのは、他ならぬカーディナルスであった)に、打たれるがままになってしまうのだ。そういえば、野球は2アウトから、なんていうが、このチームは、2ストライクに追い込まれてからが勝負どころの、ウェイド・ボッグスみたいな選手いたっけ?という感じだ。そんなんだから、2アウトから走者を出して点を取るなんて、とてもとても・・・。 なりふりかまわない無名の小兵チームにまとわりつかれると、どどどーっと倒れる、肩透かしなんかも弱い、3連敗すると休場しちゃう(なんて・・・)、しかし、いったんまわしをとって、豪快な上手投げが出ると無敵、(良く言えば)堂々たる横綱相撲、そう、あんたはゴリアテか、が今までのチームであった。 つまり、最初のゲームに勝つか負けるかで、シリーズの行方がわかるといっても過言ではないのだ。4連勝で勝つか、4連敗で終わるかどっちかしかないのね。 ああ、一度でいいから、3連敗後盛り返して4連勝して〜とか、一進一退で7戦までもつれて〜とか、若いこわいもんなしのルーキーが大活躍して、ゲームの行方を左右するキーマンの伏兵がゲームの勝機をつかみ、全員力を出し切って、どちらが勝ってもいいという気持ちにさせて〜、そして最後に笑うチームになって〜、というのは、ないものねだり、以外の何物でもない、とさえ思っていたものである。 さて次はCS、相手はあっさりドジャースに3連勝で勝ち上がった、ニューヨーク・メッツだった。 NY・メッツ、シーズン中も苦手にしているうえに、2000年のCSでは、手も足も出なかった。あれは、マティニ―捕手が指切りで出られず、アンキールちゃんが大暴投したときだ。スクイズのサインを見破られたし、マイク・ハンプトンに投打にわたってやられたのだ、ティモ・ペレスもデビューさせてやったっけ・・・・・(遠い涙目)。その後、メッツはボビー・バレンタイン後、少しの間低迷したが、今シーズン、ペドロ、グラヴィンちゃんをはじめ、すごい補強をし、斜陽の宿敵ブレ―ブスを尻目に、圧倒的にシーズン優勝した。ルーキー監督のウィリー・ランドルフは、知的で冷静な、古代エジプトのツタンカーメン王の壁画に出てくるような落ち着いた感じの紳士である(ファンなのだ)。なので、ペドロ・マルティネス、エルドゥーケが出られない、狂犬みたいなクリフ・フロイドがケガしてると聞いても、私は4連敗を覚悟した。 だって、ただでさえ苦手なのに、カルロス・ベルトランがいるんだもん。 忘れもしない04年のCS、さっさと勝ってワールドシリーズへ行きたいというのに、アストロズが、すがりつくように、しつこく食い下がったのは、超ファインプレイに大ホームラン連発の、ベルトランの大活躍のせいだった。ベルトランは、そのオフ、このときの活躍が認められてフリーエージェントの目玉となり、メッツと巨額の契約をしたくらいであった(カーディナルスがデビューさせたと言えなくもないぞ)。 そしてシェアスタジアムでの初戦、信じられないほど幸運なことに、ヤンキ―スもホワイトソックスもマリナーズも、ドジャースも負けたせいか、BSで生放送があった(去年は、井口と松井に焦点を当て、田口なんて出てないかのごとく知らんふりして、NLCSだけを録画で放送した)。それも珍しく、FOXSPORTSの実況、ということは、大好きなジョー・バックとティム・マッカーバーコンビの担当であったのだ。言うまでもなく、ジョーの父上、故ジャック・バック氏は、殿堂入りもしたカーディナルスの名アナウンサー、ジョーもセントルイス育ちでカーディナルス・アナだったし、マッカーバーは、有名な元カーディナルスの名捕手である。日本語実況なんてめじゃない話が聞けるのだ。しかしこのふたりは最初から、さめた様子で、「どうだい、デイブ・ダンカン投手コーチの再生に成功しそうだから、オフにはジェフ・ウィ―バーが再契約して残るかな、すると来年のカーディナルスの投手陣は〜」なんてゲームに関係ない、すでにオフシーズンのような話をしてくれていたのだった。(つまり、カーディナルスが勝つとは思ってなかったんだね)。身内の反応だって、この程度なんであった・・・。 第1戦は、田口選手曰く、心を読まれているという、ベテランになった百戦錬磨のトム・グラヴィンちゃんの先発で、ぷー君のなんでや?走塁ミスがあり、0対2でやっぱり負けたが、意外なほどのジェフ・ウィ―バーの好投で2点しか取られなかったやんか、大善戦である。投壊による大量失点でのボロ負けでなかったことが嬉しい、で、少し期待する私。 雨で中止の翌日の2戦目、なんと、0−3から点を取り返す、今まで見たこともないような競り合い、手に汗を握る好ゲームをやってくれた。そういえば、昨年、今年と、逆転勝ちが出来るようになってはいたんだ、今までよりは、延長でのサヨナラ勝ちも増えたような・・・。と思い出したとき、8回裏メッツの上位打線を抑え、6対6の同点で9回を迎えた。おおっ、いけるかも??と身を乗り出した私。 ぷー君をはじめ、上位打線にまわるからだった。先頭バッターは、田口、田口が塁に出られれば、あるいは!!!と、カーディナルスベンチ、ファン一同、もちろん田口選手も、塁に出ることだけを期待していた。抑えのエース、あのビリー・ワグナー投手に対し、粘りに粘る田口、おおっ、気合い負けしていない、今までのカーディナルスとは違う、すごいじゃないか、田口選手、手に汗を握り、画面に見入った瞬間、ホームランをかっ飛ばしてくださった。逆転である。「ソー・タグ―チ、ソー・タグ―チ」。いや、ジョー・バックは冷静にしゃべっていたが、私が叫んだのよ。「ざまーみろっ!」なんてふだんは使わない言葉も叫んじゃったほど、コーフンしたんですよね。いや、これは田口選手にではなくて、カーディナルスと田口選手を中継しない、まるで、メジャーリーグには、ヤンキ―スとマリナーズしかないみたいな、NHK−BS、イチローちゃんや松井ばっかしの日本のマスコミに対しても、「みたか〜っ!」と言ってやりたかったの。ほんとうに見事な、打った瞬間わかる、しかもシリーズの流れを変えた、プライスレスなホームランでありました。 何度も何度も再生される映像、ベンチのエドモンズ君達が乗り出して打球の行方を追い、ホームランを確かめた後、大喜びでそれぞれガッツポーズし、田口選手が帰還すると、満面の笑みをたたえた彼らが、ぼこぼこにもみくちゃにしている、それはそれは夢のようなシーンでありました。そして追加点まで入れ、なんと、9対6で勝ったのだった。すごいっ、1勝1敗でセントルイスへ戻るんだ!ネットの記事でも、SOの話題で持ち切り、ESPNのニュースでも、英語の記者会見をやっていた。ラルーサ監督も記者会見で言及、BSのインタビューでも、あのホームランがなければ連敗していた、シリーズの流れを変えたと言っておられた。名監督からバッチリ信頼を得ている田口、ああ、こんなときが来るなんて、いったい誰が予想したでしょうか・・・。 尚、このシリーズは、雨のせいで旅行日なしでブッシュスタジアムで3戦目を迎えた。与作が歌える日本料理に詳しいジェフ・スーパ―ンが好投、ホームランも打って5対0で勝っちゃった、カブス時代から相性の良いスティーブ・トラクセル投手が相手とはいえ、連勝。2勝1敗で優位に立ったカーディナルス。い、いけるじゃないか・・・。この頃、なんでもラルーサ監督の策が的中するもんで、えらく感心されていたものだった。 (ちなみに、田口日記は移動日のためお休みだったが、どこかの記事(たしかセントルイス出身で、10年ほど前、BSでリポーターをしていた、阪神ファンで大阪弁もうまい、ブラッド・レフトン君が書かれたものだったような気がする)で、2ゲーム目のウィニングボールは、田口選手に進呈されたようであった←日記にぜひ書き足してほしいですわ〜) しかしメッツは強かった。数年前、艦長先生のとこで、トロント、スカイドームでもらったという、バブルヘッド人形をアップしてくださった方があったんだが、くらい室内の隅っこでにやっと笑うブードゥー教の呪いの人形みたいな映像が、まだ目に焼き付いているカルロス・デルガード(笑顔は可愛いが)、にっくきベルトラン、「マルコムインザミドル」のマルコムが大人になったみたいな、かわゆいデビッド・ライト君(デビュー以来のファンなんだ〜)、この春のキャンプでおりっきー様がじきじきに御指導なすったという、ホセ・レイヤス、宅配便の配達のあんちゃんみたいな、人の良さそうな、が、油断ならないロ・デューカ、大好きな渋いホセ・ヴァレンティン、シーズン後半補強のショーン・グリーン、まあ、ド―ベルマン・ピンシェルとジャックラッセルテリアみたいなのが、ぼこぼこと打ちまくるのなんの、こう言っては悪いが、メッツの攻撃の回になると、胸がつぶれるような恐怖を感じ、抑えると心底ほっとしたものであった。 ところが、である。カーディナルスの選手達も、今までにない、良く言えばガッツ溢れる、食らいついていくような気迫を全身に溢れさせていたのだ。愉快な仲間たちでなくて、guttyな仲間たち。ノーメークでクリンゴン人の役が出来る、と思ったのは、デビッド・オルティースやラリー・ウォーカー、故ケン・カミニティーくらいだったが、ロニ―・ベリヤード、プレストン・ウィルソン、ヤディ―ル・モリーナも、クリンゴンだったとは。エースのクリス・カーペンター君は、カンガルーかワラビーが泣きべそをかいているような顔だし、ジェイソン・マーキー君ときたら、ハムスターそっくり、エドモンズ君はわがままなボストンテリア系だ。これが今までの典型的なカーディナルス選手の顔だったのだが、プレストンがスライディングキャッチを決めたときなんて、まるで、バーゲン会場に一番乗りをした大阪のオバハンのような、殺気だった表情だったやん・・・。 本気なんだ、みんな(本気でないと困るけど・・・)、という感じが、表情からひしひしと伝わってきたのだった。 それにですね、ぷー君、スコット・ローレン君もエドモンズ君も、絶好調とはいえないが、スランプともいえない、シーズン中みたいな普通の働きをしていた。それをつなぐダンカン息子、ヤディ―ル君、スコット・スピージオ、ベリヤード、ホアン・エンカナシオン、プレストン・ウィルソン、田口壮、脇役が交代で次々とええ仕事をしているのだ。誰かがケガをしたら、おしまいだったはずなのに、若手投手たちも意外なほどきっちり抑えているじゃんか。いやとにかく、どこをとっても、うちのチームカラーにはなかったことばっかり、いったいどこでどう違ってきたんだろう?? 田口日記やインタビュー記事によると、やはり今年のチームはまとまりがなかったという。が、プレイオフが進むにつれ、シーズン後半は、ボロボロのせいでバラバラだったチームが、どんどんまとまっていったという(やっぱり〜、ファンの目はたしかだったのね・・・)。 ただ、CS第2戦、ラルーサ監督は、スコット・ローレン君をはずし、スコット・スピージオを先発させた(スピージオはタイムリーヒットで勝利に貢献、この起用は成功だった)。毎日ゲームに出るために来てるんやんかと、ローレン君をむっとさせ、ふたりは対立してる、言葉を交わさないという記事が出ていた。キャンパスの不良こと、ローレン君がむっとすると、こわいじゃないか!これがちょっと心配であった。それと、若手投手たちが、いやにがんばっている、特に抑えを任されたアダム・ウェインライト君がよかった。正規の抑えのエース、イジ―君はどう思っているのかな?と心配していると、なんと、イジー君は、ブルペンで若手の指導をしていて、彼らの登板を自分のときよりも緊張して見守っているという、イジ―先輩のお喜びの様子を伝える記事をみつけた。全員一丸となったチームというのは、そうなんだ、そうなんだね〜♪ 第4戦は、5−12でメッツ、第5戦、ジェフ・ウィーバーとグラヴィンちゃんの2度目の対戦は、4−2でカーディナルスが勝った。第6戦は、また旅行日なしでニューヨークへ戻り、4−2でメッツであった。このゲーム、最後の最後に代打田口が登場、またビリー・ワグナーから2点タイムリー・ヒットを打った。明日につながるヒットというのは、気休めかと思っていたが、これこそが、ほんまものの明日につながるヒットであったのだった。こう言ってはナニだが、05年のアストロズとのCS5戦目、カーディナルスはシリーズ敗戦濃厚で、ミニッツメイドパークのクラブハウスでは、シャンペンを用意する音が聞こえる頃、9回表2アウトから、エクスタイン君が粘って四球を選んだ後、ぷー君が起死回生の3ランホームランを打って、アストロズファンをし〜んとさせ、6戦に持ち込んだ劇的なゲームがあった。が、あのときはセントルイスに戻っても次のゲームは勝てなかった(正直、勝てそうになかった)、のだが、今度は違う感じ、 だって、クリンゴンチームなんだもん。 ついに夢にまで見た、第7戦にまでもつれるところまで来たのだった。とにかく、カーディナルスのゲームが毎日見られるなんて夢のようだし、それだけで涙が出るほど嬉しい。が、私はメッツも好きなのだ。どちらが勝ってもいい、とはいうものの、おでこにLつけて、まさかここまで来るとは思わなかったやんか、こうなるとぜひ勝ってワールドシリーズに進んでほしい欲が出るのは当然であろう。また来年、春からやり直しなんて、待たされるのは長いがな〜、いやとにかく、小さな胸がどきどきわくわくするではないか・・・。 (私事ではあるが、うちのまみーもきゃあきゃあとはしゃぎ始めた。「お、おかーさん、カーディナルスファンと違うんとちがうかった〜?」「いやあ、うち、こんな緊迫した勝負事、たまらん好きやね〜ん」・・・。はっきりいって、ええとこどりのミーハ―な性格丸だしだが、今までにない入れ込みようで、カーディナルスを応援してくれたのであった。) いよいよ第7戦、ジェフ・スーパーンとオリバー・ペレスの対戦は、緊迫した投手戦であった。ものすごいファインプレイもあった。スコット・ローレン君のホームランを、エンディー・チャべスが、キャッチしちゃったのである。今後、何度も何度も流れるだろうといわれるスーパープレイで、ローレン君もがっかりだろう、ああ、これでだめかなあと思ったものだ。が、しかし、今度はキャッチャー3兄弟、ニンジャタートルズの末っ子、ヤディ―ルが、9回表に2ランホームランをかっとばしたのだ。今度は、チャべスもとどかなかった。記事の写真を見ると、打った瞬間もう笑顔で写っているヤディ―ル、手応えがあり勝利を確信したようだった。このとき、田口はベンチにいた。が、抑えのワグナーが2度も打たれたので、ランドルフ監督は中継ぎと交代させ、ワグナーを出すと、田口が代打で登場するかもしれない、また打たれる〜と、中継ぎを続投させたのだという、もっぱらの批評であった。結局それがヤディ―ルのホームランを呼び、敗因となったのだ。もちろん、ワグナーを出していても、田口が打ったに違いないと思うが・・・。いやはや、ソー・タグチなくして、カーディナルスは、ナショナルリーグ優勝出来なかった、これは誰も異論のない歴史的事実になったのだ。 今後、ビリー・ワグナーは、どこのブルペンにいても、「SO TAGUCHI」という、心無いファンの野次を浴びることになろう・・・。デニス・エッカースリーが、「KIRK GIBSON」と野次られ続けたみたいに・・・。 9回裏、最後のバッターは、にっくきカルロス・ベルトラン(いや、こーいう場面でなかったら、好きな選手のひとりなんだけど)。ランナーも2人いたので、一振りで逆転、それに次はデルガードだって待っていた。ものすごい緊迫感だった。が、アダム・ウェインライト君が、あのベルトランを三振に取ったときの達成感といったら・・・(号泣)。 ESPNのニュースでは、日本語以外のいろんな実況で聞かせてくれたっけ。 しーんとする、シェアスタジアムのグラウンドで、巨大ダンゴになるカーディナルスの選手達はみんな、シーズン最後の、あのおでこに L がすっかり消えた、自信に満ちた顔をしていたのだった・・・。 NLCSのMVPは、自身でもホームランを打って活躍した、与作、いや、ジェフ・スーパーンが獲得した。 FOXSPORTSの中継では、家族席も映った。弟の昇格のためにエンジェルスを出されたジェフ・ウィ―バーだが、家族席で兄ちゃんを応援する、そっくりの弟の姿が何度も映っていた(弟は、クラブハウスのシャンペンファイトにも来たそうだ)。プレストンの継父、あの86年のビル・バックナーへのゴロを打った、ミラクル・メッツのムーキー・ウィルソンもおられた。それならば、モリーナ兄ちゃんたちとママ、スピージオ父も揃ってなければ、それに田口選手の応援には、野茂投手、イチローちゃんたち日本人選手が並んで見ていてほしいな、そしてその隣には、仰木監督用に、ビールを置いた席が用意されていたらどんなにいいだろ〜な〜、と思ったのでありました・・・。 HOME 2 3 |