No144room

目次

第1章

1.すごい発明キター!

2.新たな世界

3.新たな出会い

4.こびとか巨人か

5.困った人たち

6.来てます!

7.誰ですか?

 

 

 

-----------------(1)すごい発明キター!-----------------

「クリニカちゃん、みちるちゃん、よく来てくれたわね。」
かわいい天才科学者を自称する、ヘルプ博士の研究施設に 二人の訪問者が訪れていた。二人の訪問者の身長は極端に違っていた。
「ところでヘルプ博士、ここ何ヶ月か姿を見かけなかったんだけど、 どうしていたの?」
 ヘルプより少し背の高いクリニカが、ヘルプに尋ねる。 二人の様子を見ていたみちるはニコニコしている。

 ここにいる三人、全員が若い女性だ。ちなみにみちるは女子大生、 クリニカは体を張った恋愛コンサルタントを自称しているという。
「と、言うわけで今世紀最初で最大の発明をここに発表するの。 あなたたちはその歴史の証人になるのよ。」
 ヘルプの説明を聞いたみちるは、
「すっごーい、ヘルプちゃんどんな凄い発明品なの、わくわく(^^)」
「そういう凄い発明品の割には、なぜ立会人が私とみちるちゃん 二人だけなの?」
 と、いいながらも長年の勘でただならぬものを感じたクリニカは、 ヘルプから目をそらし、自分よりはるかに背の高いみちるの顔を 見上げた。ヘルプは、
「実を言うとほぼ完成はしているんだけど、このまま発表するのは 私の科学者としてのプライドが許さないの。いわば完璧主義ね。 制御システムの『ちょっとした微調整』を手伝ってほしいんだけど。」
 クリニカは、
「みちるちゃん、こういうことは私たち素人がかかわるのは あまりいい事じゃないと思うの、実験の邪魔になるかもしれないから 帰りましょう。」
 みちるは、
「そんな〜、そうだ、ヘルプちゃんがどんな発明品を作ったのか、 見せてもらうだけならいいでしょう。あれ、クリニカちゃんは?」
 ヘルプは、ある方向を指差し、
「みちるちゃ〜ん、クリニカちゃんはそこにいるわよ。捕まえて〜。」
「ハーイ(^^)」
 みちるは、クリニカに向かってゆっくり手を伸ばした。 そこで皆さん、こんな緩慢な動作で捕まえられるかと思われるだろうが、 実は楽勝なのだ。みちるは正真正銘、純粋な地球人、日本人なのである。 クリニカとヘルプは外見上は地球人そっくりなのだが、実はまったく 別の種族なのだ。が、見分けるのはきわめて簡単だ。 その大きな違いは身長だ。この二人、身長が地球人の十分の一程度しかない、 いわゆるこびとなのだ。クリニカのすぐ後には彼女にとっては 巨大なみちるの手が迫っていた。彼女のウエストほどもある五本の指が たちまち背後から回りこみ、包み込み、下半身を固定する。 クリニカはそこから逃れようと両腕を必死でみちるの指に押し付け、 押し戻そうとしたが、動くわけが無い。
「みちるちゃん何するのよ、放してよ。」
 みちるに捕まったクリニカが言う。
「一緒に見て帰ろうよ。見るだけだったらそんなに 時間も取らないでしょ。」
「ヘルプ博士はいるか?」
 そのとき、一人の体格のいい男が入ってきた。 身長はみちるより頭ひとつくらい高い。ヘルプ博士は男に、
「以前私が捜査協力した宇宙刑事ピップエレ◎バンだったかしら?」
「いや、ビッグバンです。それより博士、博士の開発した ハイパー次元跳躍装置を使わせていただきたいのですが。」
 ビッグバンと名乗った男の答えにヘルプ博士は、
「ちょうど最終テストをやるところよ。」
 するとビッグバンは、
「そうか。ではテストが完了次第、使用許可をいただきたい。」
 ヘルプ博士は、
「さっき装置の起動準備を完了したところよ。ピップエレキバンさんの 上司からこっちに連絡があったから、すでに座標はセット済み。 今すぐにも出発出来るわよ。」
 それを聞いたみちるに捕まったままのクリニカが言う。
「あのー。『ちょっとした微調整』がまだのこっているんじゃ(^_^;)」
 ヘルプ博士は、
「私、そんな細かいことは気にしないの。」
 みちるに捕まったままのクリニカがさらに言う。
「あのー。博士は完璧主義だって(^_^;)」
 ヘルプ博士は、
「超激動の21世紀は、何事も柔軟に対応しないといけないのよ。」
 二人のやり取りを聞いていたビッグバンは、目が点になり、みちるは、 そんなことを気にする様子もなく、クリニカを手に持ったまま、 目をきらきらさせていた。
「とにかく事情はわかった。済まないが、そこの携帯を 貸してくれないか。」
 ビッグバンが言うとヘルプ博士は、
「いいわよ。」

-ぴろりんころりんどっかんこ-

 ビッグバンが携帯のスイッチを入れたとたん、辺りがオーロラのような 光に包まれた。

-----------------(2)新たな世界-----------------

 ビッグバンが辺りを見渡すと、視界には見渡す限りの草原が、 そこには広がっていた。その場所には、自分以外には クリニカを手に持ったまま、いつの間に移動したのか、肩にヘルプ博士を乗せ、 目をきらきらさせていたみちるが居た。ビッグバンは、
「一体、ここは……。」
「目的地よ。あなたが装置の起動スイッチを入れてくれたのよ。」
 みちるの肩に乗ったヘルプ博士の言葉を聞いたビッグバンは、
「なぜそんなことに……。そうか、これは携帯ではなくて 博士の開発したマシンだったのか。」
 ビッグバンが言うとヘルプ博士は、
「ぴんぽーん、善は急げ、早速犯人を捕まえに行きましょう。」
 ビッグバンは、
「ちょっと気が早くないか?というかなぜ犯人の逃げた先がわかってる?」
 ビッグバンのことなど気にする様子もなく、そばにいたみちるは何かを 見つけたようだ。
「あれ?こんなところに線が引いてあるよ。」
 ビッグバンは、
「それは後回しにしたほうがいい。もしここに犯人がいれば危険だ。 ここで待っていてほしい。」
 みちるの見つけた「線」、その幅は2、30センチ程度、その「線」は ずっと先へ延びていて長さはわからない。その向こうから「線」にそって 何かがやってきた。
「何か来るわ。」
 最初に見つけたのは、みちるに握られたままのクリニカだった。このような 状況下で、優れた探知能力を発揮するのは、やはり妖精としてのうまれつきの 素質なのだろう。 初めての 所だみんな 大はしゃぎ

「ノート博士、まもなく現場です。」
 ノート博士は、助手の運転する車で目的地へ向かっていた。
「近づけるところまで行くんだ。」
 ノート博士は助手に、指示をした。
「博士、あれはなんでしょう。」
 助手は、道路の向こう側に何かを見つけたようだ。ノート博士は、
「かなり大きいな。ここで止まってしばらく様子を見よう。どうした?」
「博士!ぶ、ブレーキが利きません。」
「落ち着くんだ。」
「博士変です。スピードが上がって居ます。」
「もしかしてアクセルとブレーキを間違えていないか?」
「……(^_^;)」
「図星のようだな。人間、慌てると大きな間違いを犯すものだ。」
「済みません。」
「とにかく外へ出てみよう。」
「博士。」
「なんだね。」
「まだ車は止まっていません。」

 みちる、ビッグバン、ヘルプ博士、クリニカの四人は、「線」にそって やってくる何かを観察していた。その何かが突然スピードを上げ、 こっちへ向かってきた。いや、その何かはそれでも「線」にそって 動きつづけていた。その「線」がみちるたちの足元に向かって 延びているのだ。「線」にそって移動すれば、必然的にみちるたちの 足元に向かって来る事になる。やがて「線」にそってきた何かは みちるの足元で止まった。みちるはそれを拾い上げた。

「もう良いだろう。そろそろ車を停めてくれ。」
「はあ……。」
「どうしたのかね?」
「努力はしてはいるのですが……。」
「車を停めるのに努力も何も必要ないだろう。」
「いくらブレーキを踏んでも、スピードメーターが0になっても、 エンジンを止めても止まる気配がないんです。」
「はっはっは。時々君は面白いことを言うね。」
「笑わないでください。こっちは真剣なんですよ。」
「いや、悪かった。まさかこの車が上にでも上がっているとでも言うのかね?」
「なぜわかるんです?」
「君もそう思うのかね。」
「はい。」

「何だそれは?」
 ビッグバンはみちるの拾い上げた物を見ていった。 みちるが答えようとしたその時である、

-ぎゅおおおおーん-

 何かがみちるたちの上空を横切った。

「ここに間違い無いのか?」
「ああ。」
 宇宙船は、未知なる空間へと到達した。ここはその宇宙船内の コックピットである。そこには二人の男がいた。その一人の名は、 リャド・アエング。彼は筋肉質だったが、もう一人は彼と同じような体型で、 なおかつ頭一つ分大きい大男だったので、二人並ぶとリャドは小さく見える。 大男の名は、ボーブ・ザタイだ。ボーブは、
「確かに、奴らはここへ来ているだろう。どうやって見つけ出す?」
「協力者がいてくれると心強いのだが。」
 リャドが言うと再びボーブは、
「それはまだ先の話しだ。ここがどういうところかも よくわかっていないのだからな。」
 そのときである、

-ぴろりろりん、ぴろりろりん-

 船内通信の呼びだし音が鳴った。
「どうした?」
 リャドは通信に答えた。モニターに彼らの仲間の顔が映し出された。 若い女性だ。 彼女の名は、ゾホ・オユだ。ゾホは、
「大変な世界へ来てしまったみたいよ。これを見て。」
 するとモニターに外の様子が映しだされた。モニターを覗きこむ 二人の男の横に、 別の男女のペアが入ってきた。男のほうが二人に話しかけた。
「おい、リャド、ボーブ、何かあったのか?」
 答えたのはボーブのほうだ。彼は入ってきた男に話しかけた。
「フセーザ、『何かあった』なんてもんじゃない。これを見てくれ。」
「ふーん、なになに、ちょっと見せて。」
 が、モニターを二人の男の間から割り込むように先ほど入ってきた女が 覗きこんだ。
「えーっ、うそっ、なにこれ?」
「ウッチブ、もういいだろ。フセーザと代われ。」
 ボーブは太い腕で、ウッチブを押し退けた。彼女に代わり、 フセーザがモニターの前にやってきた。モニターを見たフセーザは、
「そうだ、ゾホはどうしてる?」
「ここにいるわよ。でもこんなことははじめて。どうするの?」
 ゾホは既にに同じ部屋に戻ってきていた。リャドは、
「こんな巨人、見たことが無い。」 

-----------------(3)新たな出会い-----------------

「ねえみちるちゃん、私にもよく見せてよ。」
 みちるの肩の上から、ヘルプ博士が言う。みちるは、
「いいよ。」
 そう言って、拾い上げたものをみちるはヘルプ博士に見せた。

「ところで博士、この不思議な現象をどう思います?」
「地震にしては、少し変だな。竜巻かもしれない。いずれにせよ、 私たちは貴重な体験をいましているといっていいだろう。」
『じゃあ、いま何が起こっても驚かないわね。』
「博士、何か言いましたか?」
「いや、私は何も言ってない。外から声が聞こえているようだが。」
『ねえ、声の主を確認しようとは思わない?』
 突然聞こえてきた声に、急に気味が悪くなったノート博士と助手は、 恐る恐る外を見た。

「これを見て、どう思う?」
 フセーザが、モニターをみんなに見せながら言う。
「敵にしたくはないな。」
 ボーブが言うとウッチブが、
「でも巨人たちは私たちのことなんか考えないかもよ。 もし、襲い掛かってきたら、ボーブでもひとひねりね。」
「巨人は大小二種類、2体ずつだ。小さいほうでもわれわれの3倍、 大きいほうはわれわれの30倍だ。敵になれば厄介だ。 様子を見て、コミュニケーションをとる方法を考えよう。」
 フセーザが言った。するとボーブが、
「ゆっくり考えている余裕はなさそうだぞ。」

「信じられない。これは本物なのか?」
 ビッグバンが、みちるの拾い上げたものを横から覗き込んでいた。 彼の頭の上には、みちるからようやく解放されたクリニカが ちょこんと乗っていた。クリニカは、
「私たち妖精よりずっとちいさいわ。」
 みちるは自分の拾い上げたものに、いや、その中にいるものに 話し掛けた。
「こんにちわ。私の名前はみちる。さっき話し掛けてきた子は ヘルプちゃん。いろんなものを発明してくれるんだよ。」

 ノート博士と助手は、今、とんでもない体験をしている。 車で助手と異常現象の調査に出かけた。そこでとんでもない 体験をしてしまったのだ。 自分たちの車が突然空高く舞い上がり、何処からともなく自分たちに 話しかける声が聞こえてきた。その声の主は、自分たちの乗っている 車を持ち上げた巨人だった。詳しく言えばもう一種類の巨人がいた。 はじめに話し掛けてきたのはその巨人だった。車を持ち上げた巨人よりは ずっと小さいようだったが、それでも自分たちの三倍はありそうだ。 だが、それだけでびびっている二人に更なる恐怖が訪れた。 自分たちの車を持ち上げている大きいほうの巨人が話し掛けてきたのだ。

「要は巨人につかまった二人を助ければいいんでしょう。 それならいいものがあるわ。」
 モニターを見ていたゾホはそう言って横のコンソールを操作した。
「もしかして、これは……。」
 大柄なボーブが彼女に覆い被さるように覗き込む。ゾホは、
「ネットで見つけたんだけど、ワープのシステムを直接操作して、 目標物をこっちへ取り寄せるのよ。」
「素人が作ったフリーソフトなんかあてになるのか?」
「すでにテスト済みよ。忘れ物を取りに行くときなんかに重宝してるわ。 ええっと、こうして、ああして……。」

「消えた?」
 みちるの拾い上げたものを覗き込んでいたビッグバンが、小さいが その中の異変に気がついた。みちるの拾い上げていた物の中にいた 「生き物らしきもの」(恐らくこびとであろう)が突然 いなくなってしまった。みちるは、自分が先ほど拾い上げた物を 地面において、周りを見まわした。すると彼女は、先ほどまで 何も無かった場所に、巨大な金属製の物体が出現していたのに気がついた。

 ノート博士と助手は、信じられない体験をしてしまった。 自分達は巨人に襲われた。が、その直後気がつくと、 自分たちを五人の若者たちが見つめていた。その場所は建物なのか、 大きな乗り物の中なのかはわからない。金属製の壁のあちこちに モニターやらコンソールが取り付けられていた。そこに表示されていた 文字は、博士も助手も見た事も無い物だった。博士は、
「あなた達は何者ですか?ここは何処ですか?」

-ぐらぐらぐら-

 その直後、地震のような振動が、七人を襲った。

「それはなんだ?」
 ビッグバンは、みちるが突然現れた見たことの無い金属製の物体を ぱしぱしとたたいているのを見て尋ねた。みちるは、
「知らないうちにあったの。」
「これは、博士の発明品か?」
 ビッグバンは、みちるの肩の上に乗っているヘルプ博士に尋ねた。 ヘルプ博士は、
「ちがうわよ。」
「確か妖精族は『魔法』とか言う特殊能力があったはずだ。クリニカ、 その力を使って出現させたのか?」
 ビッグバンは、みちるの頭の上にちょこんと乗っかっている、 クリニカに尋ねた。
「あの(^_^;)みちるさんにいじりまわされたおかげで、そんな事する余裕なんか 無かったわ(;_;)」
「そうか……。」
 ビッグバンは、しばらく考え込んだ。その直後、
「みんな、そこから離れるんだ!」
「えっ、どうして?」
 みちるは言った。するとビッグバンは、
「万一、爆発物だったらどうする。むやみに触る物ではない。」
「でもこれは、科学者として、興味ををそそられる物なんだけどね。」
 ヘルプ博士は言った。するとビッグバンは、
「博士のお気持ちはわかります。失礼ですが博士は爆発物処理の 技術はおありですか?」
「大丈夫よ。既にこの物体の正体は調査済みよ(^^)」
 ヘルプ博士は自身満々の表情で答えた。

-----------------(4)こびとか巨人か-----------------

「一体どうなっているんだ?なぜ巨人たちがここにいるんだ?」
 リャドがゾホに尋ねた。ゾホは、
「どうやら、相手を引き寄せる代わりに、こっちもその近くまで短距離 ワープしちゃったみたいね。」
「それじゃ、俺達も巨人の近くまで来てしまったのか?」
 リャドがそう言うと、フセーザは、
「短距離ワープでも良い、なんとかここから移動できないか?」
 そのときである、
『その必要はないわ。』
 ここにいる七人、すなわちフセーザたち五人とノート博士と助手には、 そのだれもが聞いた事も無い、女性の声が聞こえた。七人が七人とも、
それぞれ、声の主は何処かと回りを見まわした。
『皆さん、ここよ。』
『なんで私もいるんです?』
 全員が慌てているうちに謎の声の主は二人に増えた。そのときフセーザは、 声の主に話し掛けた。
アフォですか?作れないなら 入れとくな 「お前達は何者だ。今何処にいる。姿を現せ!」
 それを聞いたノート博士と助手は戦闘かなにかの訓練をしているであろう 彼らならともかく、もし自分たちに謎の声の主が突然現れて襲って来たら どうするのか、小1時間問い詰めたいと思った。
『はいはいー。それじゃ隣の部屋に来てね〜。』
 ノート博士の心配をよそに、謎の声の主との会話が続く。
「なんてやつだ。舐(な)めやがって、大体こっちから勝手に入ってきて、 自分たちの家にいるような話し方じゃないか。俺が行って確かめてやる。」
 リャドが言う。フセーザは、
「リャド、落ち着くんだ。」
「私が援護するわ。行かせてあげて。」
 ウッチブが言った。そのとき、
「ちょっと待って、声の主がわかったわ。」
 船内モニターをチェックしていたゾホが言った。モニターを覗きこんだボーブが
「こ……、こいつらは……。」
「どうした?」
 フセーザが言うとゾホが答えた。
「巨人よ。先ほど外にいた。小さいほうだけど。」
 そのときには、リャドとウッチブは、そこには居なかった。

「出て来い、俺達の船に勝手に入ってきやがって。」
 リャドの声が広い格納庫内にこだまする。声は、そこから聞こえてきたようだった。
「ごめんね〜。あなた達と直接お話をするにはここに来るのが一番いいと思ったのよ〜。」
「ふざけるな。」

「ねーね〜、ヘルプちゃんとクリニカちゃんが、突然居なくなっちゃったんだけど。」
 謎の物体を前にして、みちるがビッグバンに話しかけた。彼は、
「博士は先ほど、これの正体がわかったと言った。おそらく調査に行ったのだと思うが……。 一体何処に……。」
「そうなんだ。どこへ行ったんだろう……。」
 しばらくみちるは考えていた。そして、
「わかった。ヘルプちゃんはこの中に入っていったんだ。」

 そのころ、彼女達はフセーザ達が乗っているのとはまた別の宇宙船内への侵入に成功した。
「以外、いや意外と、楽勝だったわね。」
「姉さん、油断は禁物よ。」
 この二人、実は姉妹だった。長女のラール・テッフ、二女の ツォウズ・テッフは、目的の場所を探すことにした。その時である、

-どんどんどーん-

 突然地震のような振動が起こった。
「なんなのー。」
「姉さん!」
 2人はバランスを崩し、そばにあった穴の奥深くへ落ち込んだ。

-ぷよーん-

「ふう……柔らかいところで助かった……。」
「でも姉さん、ここは何処なのかしら。」

 サオングはベッドの上で目を覚ました。女性のみのメンバーの 中で体は大きいほうだ。仲間内で最も腕力の強い彼女は トレーニングをした後、その疲れで寝てしまったようだ。
(何かしら?)
 彼女は、自分の体の上で、何かがうごめいているのを感じた。

-ぴろぴろぴーん-

「なんだこりゃ?」
 場面は唐突に地球上に。どんどん舞台を増やし、無責任な 行き当たりばったりの展開で読者以上に混乱する作者である。 ここは六出納市内の一角である。
-せっかくのテーマパークの 計画がパーになりそうです。開業を目前にして海で行方不明者が 四人も出るし、後から救出に向かった女性スタッフ二人も帰ってこないので鬱です。 ツレー・ナイン-
一人の男子学生は、自分に来た携帯メールの 内容を見て不思議に思った。彼の名前は、来染間 翔(くるしみま しょう)
「きっと、間違いメールだな。」
 しかし、翔はメールを削除しようとしたが、もう一度内容を確認してから 「アドレス打ち間違えるんじゃね〜よゴルァ! 電話帳とかにちゃんと登録しないのとかと小1時間問い詰めたい。」 などと丁寧な返信メールを送ろうかと思った。その時である。

-ぴろぴろぴーん-

「またかよ……。」
-突然のメール済みません。これは自動的に 配信しています。あなたは気持ちだけでも明るい21世紀の会の……-
 差出人のアドレスを確認するまでもなく、内容からしても 別人であろうと推測された。
(それにしても今日は、へんなメールばかり来るな……。大体こんな団体 なにやっているのかわからない。かかわらないほうがいいな。 でも、読むだけ読んで見るか)
 そう思った翔は、メールの内容を確認し始めた。
-……明るい21世紀の会のメンバーのメールが 間違って配信されました。当方で緊急に調査したところ、 あなたに危機が迫っている事が判明しました。至急近くの建物に 避難してください。……-
(なんなんだよ……(^_^;)
 あまりにも訳のわからない内容に、翔は怒るのを通り越して、 呆れてしまった。そう思った瞬間、

-ぎゅおおおおーん-

 突然のものすごい音に翔は驚いた。
(これが危機なのか!)
 翔は先ほどのメールの内容を思い出し、とっさに目の前の建物に 飛び込んだ。

No144roomねくすとぉっ