母系の母の紹介
レディーシラオキ
1978年 浦河産 鹿毛 58戦4勝
父:*セントクレスピン 母:ミスアシヤガワ 母の父:*ヒンドスタン
繁殖成績
産駒の登録馬名
1986年 ファーストラブ *ナイスダンサー (地方)17戦4勝
1987年 キャンペンガール マルゼンスキー  産駒スペシャルウィーク(日本ダービー、
  天皇賞・春、天皇賞・秋、ジャパンカップ)
1988年 プラネットローマン *ブレイヴェストローマン
1989年 スリーテースト *ノーザンテースト (中央)7戦1勝 (地方)5戦4勝
1990年 エナジーアタック ミスターシービー (中央)12戦1勝
1991年 ダイワマロン ミスターシービー
1993年 ダイワウェリントン *ベリファ (中央)15戦1勝 (地方)7戦1勝
1994年 サブノリアル *リアルシャダイ (地方)7戦0勝
1996年 レディーウインク *ジェイドロバリー
1997年 ゴルデンネイビー *ポリッシュネイビー

 名牝シラオキの血を求めて、やや傍流とも言えるウインナーの仔タイヨウシラオキを購入した日高大洋牧場であったが、そのタイヨウシラオキがコーリンオーを輩出し、牧場に初の重賞タイトルをもたらしたのである。そうなるとさらに良い血統が欲しくなるもので、親交のあった浦河の鎌田牧場へ出向き、当時、破格の値段で輸入されてきた*セントクレスピンの種付けとの交換をもちかけた。中央で2勝をあげたミスアシヤガワに*セントクレスピンを無料で種付けし、牡馬が生まれたら鎌田牧場に、牝馬が生まれたら日高大洋牧場が買い取るという約束を取り付けたのである。めでたく生まれた牝馬は、こうして日高大洋牧場に来ることになり、レディーシラオキと名付けられた。
 *セントクレスピンを父に、祖母シラオキの父に*プリメロを持つレディーシラオキは、*セントクレスピンの祖母Harina=*プリメロの3×3の全血クロスを持つことになる。*プリメロは日本で多くのクラシック馬を出し続けた大種牡馬で、その活力がスペシャルウィークへと受け継がれていくのである。


※この文章は、書籍の記述を元に自分なりの解釈で書いたのですが、発表してから随分経ってからのこと。コーリンオーの重賞勝ちとレディーシラオキの誕生では、レディーシラオキの誕生の方が早かったことを指摘する人が現れました。確認してみると、コーリンオーは1981年生まれ。対してレディーシラオキは1978年生まれで、誕生自体レディーシラオキの方が早かったのです。確認ミスであったことをお詫び申し上げます。
ミスアシヤガワ
1964年 浦河産 鹿毛 30戦2勝
父:*ヒンドスタン 母:シラオキ 母の父:*プリメロ
繁殖成績
産駒の登録馬名
1970年 ジョーアスコット *ヴィミー (中央)26戦3勝・障害16戦4勝
1971年 ミヤコヒリュウ *ブランブルー
1972年 マイティフォード *サウンドトラック
1974年 ドリームカップ *ロムルス
1975年 ミスシラオキ *ロムルス
1976年 ヨシカマダ *ムーティエ
1978年 レディーシラオキ *セントクレスピン (中央)58戦4勝
1979年 マチカネトラノスケ *アステック
1980年 ヒロノスターカップ *コインドシルバー

 父*ヒンドスタンの祖母の父と、母シラオキの祖父がともにBlandfordで、4×3のクロスとなる。Blandfordは脚部不安の為、わずか4戦で引退したが、3勝はいずれも楽勝だった。産駒にBrantome(凱旋門賞)、Blenhim(イギリスダービー)、Bahram(イギリス2000ギニー、ダービー、セントレジャーの三冠馬)など、中長距離に抜群の適性を示したステーヤーを次々と輩出した。
シラオキ
1946年 岩手産 鹿毛 48戦9勝
父:*プリメロ 母:第弐スターカップ 母の父:*ダイオライト
繁殖成績
産駒の登録馬名
1953年 コンゴーセキ *ヴィーノピュロー (中央)32戦4勝
1957年 コダマ *ブッフラー (中央)17戦12勝  日本ダービー、皐月賞、阪神3歳S
宝塚記念、スワンS、大阪杯など
 産駒ヒデコトブキ(桜花賞)
1958年 シンツバメ *ヒンドスタン (中央)10戦4勝  皐月賞
1960年 ワカシラオキ *ソロナウェー (中央)11戦3勝  産駒ヒデカブト(札幌記念)、
 産駒ヒデハヤテ(阪神3歳S)
1961年 ミスエリザベス *ガルカドール (中央)7戦3勝   産駒ピラトス(函館3歳S)
1962年 ウインナー *ソロナウェー (中央)17戦0勝
1964年 ミスアシヤガワ *セントクレスピン (中央)30戦2勝
1968年 マルブツドーター *バウンドレス (中央)20戦1勝   産駒マルブツロンリー(サファイヤS)

 シラオキが名牝と呼ばれるのは、牝馬ながらダービーで2着した自身の競走成績だけでなく、産駒が走り、なおかつ産駒が次々と活躍馬を輩出したからである。
 特にワカシラオキの系統は、繁殖成績に優れており、直仔が重賞を勝ち、また3代4代後の末裔(シスタートウショウ・桜花賞、マチカネフクキタル・菊花賞)がクラシックで活躍。フロリースカップ系のなかでもシラオキ系を確立し、その本流となっている。
 戦後の財閥解体の中で、小岩井農場を経営する三菱財閥も解体されて、小岩井農場は酪農に転換した。こうしてサラブレッドの生産の中心は、北海道へと移った。
第弐スターカップ
1937年 岩手産 栗毛
父:*ダイオライト 母:スターカップ 母の父:*シアンモア
繁殖成績
産駒の登録馬名
1946年 シラオキ *プリメロ (中央)48戦9勝  日本ダービー2着、オークス3着
 産駒コダマ(日本ダービー、皐月賞)
 産駒シンツバメ(皐月賞)

 父*ダイオライトの3代父と、母スターカップの父*シアンモアのブルードメア・サイアーが、ともにOrby(イギリスダービー、アイルランドダービー)で、第弐スターカップはOrbyの4×4のクロスを持つ。20世紀初頭に、Orbyの産駒The Bossを祖とするスピード型として繁栄するも、半世紀ほどで衰退している。日本ではOrby直系の末裔に、サクライワイ(スプリンターズS2回、安田記念)などがいる。
スターカップ
1930年 岩手産 鹿毛
父:*シアンモア 母:フロリスト 母の父:*ガロン
繁殖成績
産駒の登録馬名
1937年 第弐スターカップ *ダイオライト
1938年 第参スターカップ *プリメロ
1941年 第四スターカップ *プリメロ
1945年 トキノタカラ *プリメロ
1946年 駒星 *月友
1947年 第一八セントライト *セントライト

 父*シアンモアの母Orlassが、祖父の母Angelicaと母の祖父St.Simonの、3×3の全血クロスをもっており、加えて母フロリストが、父*ガロンの母の祖父にSt.Simon、母第四フロリースカップの3代父と母の祖父にもSt.Simonをもっている、Angelica=St.Simonの5*5×5*5*5というクロスとなる。St.Simonの塊。
フロリスト
1919年 岩手産 栗毛
父:*ガロン 母:第四フロリースカップ 母の父:*インターグリオー
繁殖成績
産駒の登録馬名
1927年 第弐フロリスト *ラシカッター
1928年 ハクリュウ *ラシデヤー
1929年 ハクセツ *シアンモア
1930年 スターカップ *シアンモア
1932年 アカイシダケ *シアンモア
1939年 ミナミホマレ *プリメロ 日本ダービー  産駒ダイゴホマレ(日本ダービー)
 産駒ゴールデンウェーブ(日本ダービー)
 産駒ジツホマレ(オークス)

 母の第四フロリースカップがSt.Simonの3×3のクロスをもっていた上に、父*ガロンのブルードメア・サイアーがSt.Simonの直仔で、フロリストはSt.Simonの4×4*4のクロスを持つ。
第四フロリースカップ
1912年 岩手産 黒鹿毛
父:*インターグリオー 母:フロリースカップ 母の父:Florizel
繁殖成績
産駒の登録馬名
1919年 フロリスト *ガロン 連合2マイル
1922年 タチバナ *ガロン
1926年 アスバイヤリング *ガロン

 父*インターグリオーの祖父、母フロリースカップの祖父がともにSt.Simonで、第四フロリースカップはSt.Simonの3×3のクロスを持つ。St.Simonは、アスコットGC(20F), グッドウッドC(20F)などイギリスで10戦10勝の名馬。1890〜96、1900、01イギリスリーディングサイアー。「サラブレド史上最も偉大な父」と呼ばれ、20世紀初めは世界中がこの血をもつ馬で溢れていた。血の氾濫のしすぎから一時衰退したが、Ribot、Princequilloなどの活躍で復活。
フロリースカップ
1904年 イギリス産 鹿毛
父:Florizel 母:Stirrup Cup 母の父:Melton
産駒の登録馬名
1909年 第二フロリースカップ *インターグリオー
1911年 第三フロリースカップ *インフォメーション
1912年 第四フロリースカップ *インターグリオー  産駒フロリスト(連合2マイル)
1913年 第五フロリースカップ *インターグリオー
1915年 第六フロリースカップ *インターグリオー
1916年 第七フロリースカップ *インターグリオー
1924年 第九フロリースカップ *ガロン
1927年 ヴイスカップ *ヴィセロイ

1908年(明治40年)、小岩井農場がイギリスから、種牡馬*インターグリオーとともに、20頭の繁殖牝馬を輸入した。そのうち以下の12頭は小岩井牝系として、現在もその血統を受け継がれている。
牝系 主な末裔
フロリースカップ ミナミホマレ、ガーネット、キタノカチドキ、マツミドリ、シラオキ、シスタートウショウ、スズカコバン、ニホンピロウィナー、カツラノハイセイコ、マチカネフクキタル、スペシャルウィーク
ビューチフルドリーマー カブトヤマ、カヴァナー、ロッキーモア、メイヂヒカリ、ハクリョウ、ジツホマレ、オーハヤブサ、シンザン、タケホープ、タケフブキ、エルプス、ニッポーテイオー、レオダーバン、テイエムオーシャン
プロポンチス サクライワイ、ハクタイセイ、アイネスフウジン、レガシーワールド、グランドマーチス
キーンドラー シーマー、テスコガビー、ヤエノムテキ
ウェットセール バンブービギン
フラストレート マンナ、イエリユウ、トキツカゼ、ミハルオー、オートキツ、トウメイ、クモノハナ、ミナガワマンナ、ホウヨウボーイ、トロットサンダー、ウメノファイバー
ヘレンサーフ ハクショウ、ブランドソール、アカネテンリュウ、オサイチジョージ
アストニシメント ミナミモア、ハタカゼ、ヒデコトブキ、クリフジ、ヤマイチ、チトセホープ、ヤマトキョウダイ、ブロケード、メジロデュレン、メジロマックイーン、オフサイドトラップ
エナモールド クヰンホーク、チェックメイト
ライン スウヰイスー、グルメフロンティア
フェアペギー ヒロサクラ、ヒシマサル
ボニーナンシー コガネクイン


Back