大広間(対面所)
【大広間】県指定文化財
殿舎構成の中で中心となるのは大広間である。その内部構成から見て、正式の対面や接客につかわれた事がうかがえる。御門主の御下向、姫路城主の御来訪など、公式な対面の場として機能していた。
さらに、大広間に雁行する表書院並びに奥書院がより内向きの対面に使われた事は、その配置関係から明らかである。封建体制下、これらの伽藍は、播州の真宗勢力を代表する本徳寺寺門が、時代と社会に正面から向かい合うなかで、真宗の文化を丹精込めて表現した一つの歴史的結果である。
内部の構造は、真宗独自の儀式・作法を踏まえ、その内実を洗練させた。室内空間を内陣に対応した上段と外陣に当たる下段に分かち、一一二畳の下段の間を無目敷居により三列に割り、本堂と同様に矢来内を設けている。上段には、左手に上・上段間をもうけ、花頭窓・浄楼棚・付書院を装置し、右手には張台構を組み込んでいる。壁面には金碧濃彩の障壁画で飾られ、荘厳な雰囲気を醸し出しており、近世の真宗文化を髣髴とさせる。
国の重要文化財である本願寺対面所(鸛之間)の完成は、建築史上、この本徳寺大広間の存在無くしては語れない。近年、県の重要文化財に指定され、第二期修復事業計画の中で、屋根替えが施された。さらに、平成七年には、本徳寺信徒総代を歴任された父・鹿島守之助氏の一七回忌の報恩供養にあたり、御息女・石川ヨシコ女史の発願によって、上段間内部の意匠(格天井画)が一新された。