断熱材の種類と特徴

建材として様々な断熱材が利用されています。

繊維系断熱材

繊維系の断熱材は一度水を含んでしまうととても乾きにくいので、万が一にも水で濡らさない対策が必要です。室内空気に多く含まれる湿気が断熱層に侵入しないように断熱層の室内側に防湿層を施す。万が一断熱材が湿気を帯びても外部側に排出できるように断熱層の外部側には透湿層を確保する。念入りに結露対策を行うなどの対策をとる必要があります。

自然素材系では調湿性(吸放湿性)があり湿気に強いと謳われていますが、水をいつまでもいくらでも吸ってくれるわけはなく、外部にきちんと湿気が排出される仕組みが備わっていることが大前提です。しかし、外壁の通気層は施しながらも下地として一般的に利用されている構造用合板は透湿性がそれほどありません。湿気を外部へきちんと排出できているのか疑問です。透湿性のある構造用耐力面材については、2010.09.14にブログの記事にしました。また、水で濡らした新聞紙の束や丸めたタオルがいつまでも乾きにくいことを考えれば、水で濡れないようにしなければならないのは簡単に理解できます。過信することなく、湿気が溜まらないようにできるだけ早く外部に排出しないといけません。

また、シーリング材の劣化や外壁の亀裂などの外壁のトラブルによる漏水で断熱材を濡らさないように気をつけねばなりません。システムバスが主流になりタイル貼の浴室が減るにつれ減りましたが、水廻り周囲からの浸水も気をつけねばなりません。結露と合わせてこれらの要因は継続的に断熱材を濡らし続け、断熱性能の低下だけでなくカビ・腐朽菌やシロアリの増殖を招き建物への大きなダメージにつながります。

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グラスウール

写真:高性能グラスウール断熱材

リサイクルガラスを主原料とする人造鉱物繊維です。原料の確保が容易で大量生産できます。断熱材の中では最も価格が安く、一般に普及しています。ガラスが主成分なので断熱材自体は耐久性・防蟻性が高く、確実な湿気対策などでかなりコストパフォーマンスの良い断熱材となります。

グラスウールの密度と厚みのバリエーションが豊富で、必要な断熱性能を適宜選択することができます。

吸音材としても一般に利用されており、吸音効果も期待できます。

不要になったグラスウールは分別処分をすることでリサイクルが可能です。リサイクルガラスの再製品化も進んでいるようですので、リサイクルの効率は良いと思われます。

グラスウールは繊維同士をバインダーと呼ばれる接着剤で接着して形状を保持しています。一般のグラスウールの場合、接着剤にフェノール系樹脂が使われています。バインダーは、約150℃で変色し機能が低下します。また、グラスウールのガラス繊維自体の耐熱温度は250~350℃です。ガラス自体は燃えませんが、断熱材を覆うビニルやバインダーは低い温度で黒煙を発することや、ガラス繊維の耐熱温度が低いのは気になります。

繊維をより細くし密度を増やすことで断熱性能を高めた高性能グラスウールが急速に普及しています。より高い断熱性能を求められるようになりましたので、これからは高性能グラスウールが主流になります。

特徴:リサイクル(ガラス)、ローコスト

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ロックウール

玄武岩や高炉スラグなど鉱物を用いて生成した人造鉱物繊維です。耐火性、撥水性、耐久性、吸音性に優れます。グラスウールより撥水性が高いため吸湿性が低いようですが、一度湿気を帯びてしまってからの乾きやすさはどちらも変わりがないようなので、念入りな結露対策は必要です。

ロックウールもグラスウール同様に繊維同士をバインダーとよばれる接着剤で接着して形状を保持しています。ロックウールの繊維自体の耐熱温度は650~700℃ですが、断熱材を覆うビニルやバインダーは低い温度で燃えはじめ黒煙を出します。

グラスウールと比較してわずかに高価ですが、断熱材の中では比較的安価な部類となります。

特徴:耐火性、耐久性

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セルロースファイバー

写真:セルロース断熱材

セルロースとは植物細胞の細胞壁及び繊維の主成分で、セルロースファイバーは天然の木質繊維を使用した断熱材を示しています。綿やおがくずなどさまざまな植物繊維がありますが、断熱材としては古新聞を原料にした製品が主流です。古新聞そのままでは可燃性が高いので、ホウ酸等のホウ素系化合物(薬品)を添加して防燃・難燃処理が施してあります。

防燃処理のため添加されるホウ素系化合物は防燃性だけでなく、撥水性駆虫作用を持っていてかび、シロアリ、ダニなどの発生を防ぐことができ、また、人体への毒性は低く安全と製造メーカーが説明しています。

木質繊維自体がもつ調湿作用のおかげで内部結露が起こりにくいと言えます。しかし、吸湿量には当然限界がありますので、他の断熱材同様湿気を排出する仕組みは必要です。

吹付や吹き込み工法で利用され、施工には専用の機器が必要となるため、専門業者による施工となります。吹き込み工法は専用のシートで覆った中に細かな新聞紙片を吹き込みます。断熱施工の後シートを切断すると中の断熱材が噴出してしまうので電気配線などをやり直すことができません。断熱材施工後の配線変更だけでなく、リフォームの際にも注意が必要です。また、吹き込み量の不足は、後々に自重による沈下を招きます。仕上がると沈下の発生を確認することが難しく、施工者の技術力が問われます。

同じ断熱性能のグラスウールと比較して、1.5~2.0倍のコストのようです。

特徴:自然素材(古新聞(樹木))、リサイクル(新聞紙)、吹き込み工法

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羊毛

羊毛を使用した自然素材の断熱材です。羊毛自体は新品のバージンウールと呼ばれるものやリサイクルウールを使ったもの両方あります。形状保持を目的にポリエステル繊維を混ぜ合わせた製品が多いのですが、羊毛100%のものも流通しています。自然素材にこだわる方はこのあたりのチェックが必要です。厚み100mm程度のボード状に加工してあるものがほとんどです。

分別処理によりリサイクルが可能です。

衣服として用いられているように調湿作用に優れ、吸放湿性が高いので比較的結露しにくいと言えます。当然ですが、調湿できる範囲にあるうちに適切に湿気を外部に排出しなければなりません。

羊毛は製造エネルギーや石油の消費がなくエコ・省エネに優れた製品の印象を受けます。しかし、素材となるウールは、オーストラリアやニュージーランドからの輸入品で、遠距離の輸送が必要です。輸送費によるコストアップだけでなく、輸送のためにエネルギー(石油)を消費しています。エコ、省エネ、環境への負荷などに注目される方は商品そのものだけでなくこういった側面にも注目する必要がありそうです。

製品には防虫剤が含まれています。

羊毛は難燃性があり発火しにくい素材です。断熱材として国土交通省の防火構造の認定を取得している商品もあり、火災時の延焼・類焼を防ぐ効果が期待できます。

分別処分によってリサイクルが可能です。

グラスウールと比較して2.0倍程度と比較的高価な断熱材です。

特徴:自然素材(羊毛)

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ポリエステル(PET:ポリエチレンテレフタレート)

写真:PET断熱材

もともとポリエステルは、繊維として衣類のフリース、ふとん綿等で身近に利用されています。シート状のポリエステル(PET)はPETボトルや卵パックで良く見かけます。断熱材は回収されたペットボトルを主原料としておりリサイクル性に優れています。また原料の調達、生産も国内で輸送によるコストやエネルギー消費、CO2の排出が少なく、製造エネルギーも小さく、環境性に優れています。

他の繊維系断熱材は形状保持のため繊維同士を繋ぐために何らかの接着剤(バインダー)が利用されていますが、ポリエステルは熱により繊維同士を自己融着させているので接着剤を含みません。

吸水性が低く透水性・速乾性に優れており、結露しにくい素材です。基本的に断熱材内側に防湿シートの施工が必要ですが、外部へ一定以上の透湿性をもたせるなどの条件を整えることで防湿シートは省略できるようです。

自己消化性を有し、燃え広がり難い素材です。70℃以上で軟化し、融点である260℃で溶けはじめます。

コストは、グラスウールと比較して2.0倍程度と比較的高価な断熱材です。まだまだ新しい断熱材で、あまり知られておらず普及していないのが高価な理由でしょうか?リサイクルの効率などを考えれば、普及すれば価格も安くなりそうな気はします。

特徴:リサイクル(PET)

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発泡プラスチック系断熱材

プラスチック樹脂に発泡剤などを加えて作られる断熱材です。発泡剤により作られる微細な気泡は独立しており、高い断熱性能を持ちます。また、体積のほとんどが気体のため軽量なのが特徴です。

かなり改善が進んでいるものの未だに発泡剤として代替フロンを利用した製品が一部に残っています。オゾン層を破壊する特定フロンは地球環境の保護の観点から規制され、その代わりに使われているのが代替フロンです。代替フロンは温室効果ガスの一種で(だからこそより高い断熱性能を獲得するわけですが)、世界的に排出量の削減が求められています。環境性を考慮すると代替フロンを用いた製品は避けたいところです。フロン、代替フロン(フルオロカーボン等)に変わる発泡剤として利用されているのが、炭化水素や二酸化炭素です。

発泡剤として代替フロンを用いた高性能を謳う発泡系断熱材には、時間の経過と共にこの発泡ガスが空気と入れ替わり、徐々に断熱性能の低下を招く物があります。およそ5年で入れ替わり、30%程度の断熱性能の低下があるようです。完全に空気と入れ替わってしまっても独立気泡自体はそのまま残るので、ある程度の断熱性能は保持しています。その場合は、一般的なグラスウールなどと同等の断熱性能になるようです。

発泡プラスチック系断熱材は製品のほとんどが工場でボード状に成形されていますが、現場で吹き付けて作業できる断熱材もあります。現場発泡の吹付による断熱材は、複雑な形状の断熱層を作ることができたり細かい隙間にも充填できる、連続した断熱層を作ることができるなどのメリットがあります。

硬質なボード状の断熱材は基礎の外断熱にも利用されているようです。発泡プラスチック系の断熱材はシロアリの被害を受けやすいため、厳重なシロアリ対策を施したうえで常に注意を払っておく必要があります。しかし、もともとシロアリの生息域では土と接する部分での外断熱への利用を避けるべきです。

発泡プラスチック系断熱材はいずれも断熱性能が高く(熱伝導率が小さく)、薄い断熱層で所定の基準を満たせます。

押出法ポリスチレンフォーム

写真:押し出し法ポリスチレンフォーム断熱材の施工状況

主原料のポリスチレン樹脂に、難燃剤・発泡剤を混ぜ、押し出しながら成形したボード状の断熱材です。硬質で耐圧性に優れ、外張り断熱材で良く利用されます。吸水性・吸湿性は小さい。

もともと燃える性質があります。難燃化で微小火源では着火しにくいものの、火元の状況によっては燃えてしまいます。

ダウ化工の「スタイロフォーム」が有名で、発泡プラスチック系断熱材の代名詞にもなっています。

硬質ウレタンフォーム

ボード状に成形加工された保温板と、現場で吹き付け施工する現場発泡材があります。高い断熱性能を示します。

もともと燃える性質があります。難燃化剤で難燃化されてはいますが、不燃化には至らず火元の状況によっては燃えてしまいます。

ちなみに軟質ウレタンフォームは、台所などで良く利用する”スポンジ”です。

フェノールフォーム

フェノール樹脂は熱硬化性のため、硬化後は過熱による軟化溶融がありません。炎が当たると表面が炭化し火炎が燃え広がるのを防ぎます。また、煙や有毒ガスの発生はかなり少ないようです。

断熱材の中では非常に高い断熱性能を示し、かなり薄い断熱層で所定の基準を満たせます。

2012.07.12

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